フォリオリーナ・デッラ・ポルタ・フォルトゥーナ（Fogliolina della Porta Fortuna）

小林幸司氏（コバヤシコウジ）─独創性を貫く、不撓不屈の料理人

1958年、愛知県生まれ。大学在学中に調理師免許を取得。その後、26歳にして名古屋でイタリア料理店を開店。人気店となったが3年で閉店し、1989年に渡伊。ウンブリア州「リストランテ・ヴィッサーニ」では、1年半で料理長に就任する。帰国後、2002年に中目黒「フォリオリーナ・デッラ・ポルタ・フォルトゥーナ」を開店。2011年に軽井沢へ移転した。孤独を恐れず己の誠を貫く、まさに不撓不屈の料理人だ。

軽井沢の山中に佇むリストランテ。非日常をじっくりと味わう

薪ストーブやライティングデスクなどが置かれた、手触りや温もりを感じさせる店内。窓の外には萌える緑や林の雪化粧など四季の風景が広がり、ここならではの空気感が料理に彩りを添える。メインテーブル席は4名までで一室のみ、まさに非日常を味わうための部屋だ。普段は一日一組限定の特別なゲストだけが味わうことができるこの場所、夏の間のみ店名を「アルベリーニ」に変え、テラス席を開放して気さくなランチを提供している。

妥協なきこだわりが発揮された、味わいの頂点を湛えた一皿

一日一組限定の特別なテーブルにそっと置かれているのは、シェフ自ら手書きでしたためたその日のメニュー。ある日は、鳩やホロホロ鳥の卵、野生アスパラガスなど、まさに一期一会の食材たちがその紙に名を連ねる。料理はもちろん、イタリアの名店で培った技と感性で仕上げられ、いずれも芸術的で鮮烈な味わい。一皿ひと皿について小林氏自身が丁寧に説明してくれることで、料理をより深く味わうことができるのもこの店の魅力だ。