廣澤 公式

廣澤将也氏（ヒロサワマサヤ）――高純度の美味を求めて

1988年生まれ、愛知県出身。辻調理師専門学校を卒業後、東京「赤坂璃宮」での修業を経て、京都・祇園「蓮香」、大阪・北新地「蓮心」にて立て続けに料理長を務める。割烹「祇園さゝ木」やフランス料理「MOTOI」での研修をはじめ、半年間にわたる香港修業をきっかけに、料理には境界線がないことを実感。「中華にこだわるともったいない」との思いから、自己流を織り交ぜて純度の高いおいしさを追求する現在のスタイルに。

素材が命のあっさり中華は、ワインと合わせたい上品な味わい

コースの2品目に登場する窯焼き叉焼は、「蓮心」時代から定評のある廣澤氏のスペシャリテ。改良を加えた特注の窯で二度焼きする四万十ポークの叉焼は、しっとりと柔らかく焼きたての歯切れのよさは驚くほど。食材本来のおいしさをそのまま生かすことを第一に、ニンニクや胡椒は使わず、中華定番の調味料も控えめ。旬の野菜や魚介をふんだんに盛り込んだ品が漂う一皿は、豊富に取りそろえたワインと相性がよいのでぜひ。

日本庭園を有する築100年の町家を改装した温かみのある空間

蛸薬師通に面した細長いアプローチの先に現れる一軒家レストラン。カウンター席の目の前には手入れの行き届いた日本庭園が広がり、非日常感あふれる雅な空間を演出する。オープンキッチンながら中華特有のムッと立ち込める熱気を感じないのは「快適に過ごしてほしい」と窯や調理場の設計にこだわったから。カウンターの正面に据えられた窯からは叉焼を焼く芳醇な香りが漂い、これから供される一皿への期待感を高めてくれる。